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カハレプナ・リチャードソン・ナキさん(クムフラ)

来日中のクムフラ・カハレプナ・リチャードソン・ナキさんにインタビュー!クムが日頃心がけているハワイアンフラを伝える者として大切にしていることを始め、子供時代のお話など、たっぷり伺いました。

フラとの出会い

ハワイアンの血を継承する者として、私は母のおなかの中にいる時からフラを始めていました。

母方の家族は、カヴァ・カヒコ(パフードラムを叩きながら行われる儀式)の歌い手でエンターテイナー。私の母も歌手であり、ピアニストでした。

私は6人兄弟の末っ子として生れ、母は「フラの母」と愛されたアンティーマイキのミュージシャンであり、アンティマイキと母の出身が同じだったこともあって親交が深く、ハラウ・フラ・オ・マイキでフラをはじめました。

そんな家系に生まれたこともあり、フラはいつも私の生活の周りにあって、好きなときに踊ってはいたものの、友達と遊ぶのがとても楽しかったり、海もスポーツも好きだったので、高校に入るまでは自分から積極的にフラのレッスンをすることはありませんでした。

しかし、同じ学校に通っていたダリル・ルペヌイが、「高校生対象のハワイのフラコンペティションに出ないか」と誘ってきました。それをきっかけにコンペティションに出場するために、初めて真正面からフラと向き合うことになり、トレーニングを始めたのです。

どんなトレーニングかというと、コンペのためには一つのステップを確実にできるようになるまで2時間、3時間費やすのが当たり前。でも、自分とダリル、ほかの人たちが基本のステップを何時間繰り返しても、先生は寝ていましたけど(笑)

それが自分のフラのスタート地点で、そこから辞めることなく今に至ります。

その後、政府が資金を出して絶滅しそうなハワイの伝統を復活させる「ハワイファイティングアートLUA」にも参加しました。このアートのカテゴリーには、フラもあり、HA’Aというイベントがあり、ニュージーランドのイベントにも参加しました。また、ハワイ観光局の専属のダンサーとして中東を始め様々な国へ行きました。

このときに、ジョン・ケオラ・レイクからチャントやオリを勉強しました。ジョンは自分が見た物、聞いたもの、嗅いだもの、触ったもの、食べた物すべてがフラだと言いました。

フラの曲には皆さんが知っているような有名な歌ばかりではなく、食べたり飲んだりすることを表現した歌もあります。
身近な生活に近い歌もいっぱいあるので、自分が五感で感じる全てのものが大切なのです。

ネイティブカナディアン、ネイティブアメリカンが伝統舞踊を持っているように、フラはハワイアンの伝統舞踊です。

クムになるためのトレーニング

1996年にクム・ロエア・カヴァイ・カプ・ヒューエットより、クムになるためのトレーニングをスタートし、1998年にクムになりました。

このトレーニングも、コンペの時のトレーニングの時のようにハードでした。フラの練習だけではなく、家事、テントを建てるといったイベントの準備、何十本ものレイを編むなど、全てがレッスンでした。

日本だとワークショップで何時間と時間が区切られますが、そこはハワイスタイルなので、何時間もやるのです。

この経験を通じ、自分は何の目的でクムになるトレーニングをしているのか、クムになる事での私の責任は何か?等…、さらに深く自分と向き合う機会を与えられました。

例えばこうして今日インタビューを受けていますが、今日私の話した事がインターネットを通じて全世界に発信されるのよね?だから、私は今、お弟子さんに向けても話しているし、ハワイを代表して、ハワイを背負って話しています。先祖から伝えられているハワイの文化を正確に伝えること。それが私たちに課せられた使命です。

力を入れている、ケイキフラ(子供のフラ)

夫がキングス・ヴィレッジで働いていたので、この場所でポリネシアンショーなどを開催したり、10代から大人を対象にフラを教えていましたが、自分に子供が生まれたことで、より一層、ケイキフラに力を入れようと思いました。

ケイキフラで大切なことは
「音楽やフラを通じてハワイ語を学ばせること」です。

なぜハワイ語が大切なのか?
自分のアイデンティティを理解してもらったうえで、ハワイの文化やフラの歴史を理解してほしいと思うからです。

古代ハワイアンは読み書きをしなかったので、フラはカヒコ=オリやチャントで伝えられていましたが、宣教師たちがハワイに来てからは、読み書きが伝えられ、アウアナ=メロディと歌詞がついた音楽が多くなりました。

自分のアイデンティティをが分からなければ、自分が何者で何の使命を持って生まれてきたのかも分からない…、その意味を理解した上で、自分はどのような未来へ進むのか…。そういった「本当の自分」のことを理解することが出来ないと思うのです。

祖先は祖母から母、母から子供、子供からまたその子供へと、へその緒でつながっています。その祖先を知ると言うことが大切です。

たとえば、日本人の場合、自分のおじいさんの名前はすぐ頭に浮かぶけれど、ひいおじいさん、そのまた上のおじいさんの名前を知っている人、あるいは職業などをわかっている人はは少ないと思う。私たちハワイアンはすぐ頭に浮かぶのです。皆さんのアイデンティティを、フラ・ハワイ語・文化を通して見つけてほしいと思っています。

子供の頃は昔の私がそうだったように、様々な楽しいことや誘惑から、自分がいったい何者なのか、どんな使命があるのかと言ったことに興味がないのも理解できます。私の2人の子供たちも、自分の祖先に対する責任感(ハワイアンとして生きる道)をとても感じてくれています。でも、勉強はしてくれないのよね〜(笑)私が出張中に勉強してないことをLINEで怒ったりしているのよ(笑)!

このようにしてハワイを学ぶことで、いつか自分の人生の中で必ず自分の祖先のことやハワイアンの考え方を見直す時が来るのです。もしかしたら、今の子供たちは頭がいいし吸収も早いので、そういうことを理解するのも早いかもしれませんね。
(写真)クムが日本で指導しているケイキちゃんが2013年カラカウアコンペティションのソロ部門で1位を獲得。

ハワイアンが大切にする考え方

例えば…ハワイ(HAWAI’II)の言葉はこんな意味があるのです。

HA…空気・息(人は4分息をしなかったら死んでしまう)
WA’I…水(4日間水をのまなかったら死んでしまう)
II…この世に生を受けているもの(自然、動物、雨、星、山、魚など)

私たちは、この世に生を受けているものとも繋がっているのです。
この全てに対して尊敬の念を持つ必要があります。

今ココにある、木のテーブル。(インタビューで使ったお店のテーブルを指差して)
テーブルも昔は木として生を受けたもの、だから、生きているものとしてリスペクトするべきなんです。

カヌーメーカーやPOIメーカーなど伝統的なものを作る人がハワイにいるのだけど、彼らは、その原材料について尊敬の念を持って作っているのです。

動いてないから生きていないものと見えがちだけれど、それに対して尊敬の念を持たないといけないのです。

日本人にフラを伝える時に、心がけていること。

インターネットが普及したことにより、ハワイの文化や歴史、ハワイ語を伝えずに、ネット上でフラの振付だけを教える人が増えました。

インターネットだけを見て、身振り手振りを教えている先生のフラには、MANAが入っていない、そして、見ている人にも伝わらないと思います。

フラがちゃんと日本人に伝わっていないのでは、と危機感を感じた、私のクムである、カヴァイカプオカラニ・ヒューイットが、もっとハワイの文化や歴史をしっかりと伝えるべきだと感じ、日本のお弟子さんたちに、正確にフラの文化を教え始めました。

私の先生(ヒューイット)から学んだフラは、トラディショナル(伝統的)で癒しのフラ。つまり、自分の祖先(どこで生まれたのか、先祖など)のルーツを知り、自分のアイデンティティを知り、そのアイデンティティを後世に伝える事の重要性を伝えるフラです。私もハワイの文化を正しく教えるために伝えています。

ONO=ハワイ語で「美味しい」と言いますが、クムが食べた物(学んだこと)を、私たちも同じように学び、身に着け、MANAがやどったHULAを伝えていってほしいし、学んだことを分かちあって欲しいと思っています。

それを、私がこうしてお弟子さんに教える事で、真のハワイアンフラが日本で広まっていく、と思っています。今回、このインタビューを通して、ハワイアン・クムとしての考え方、ハワイの歴史や文化を理解してもらえたら嬉しいです。 

ハワイでの生活

えーっとね、料理して、洗濯して(笑)あ、そういうことを聞きたいんじゃないよね(笑)
今の趣味は、日本料理を作ること。日本のお弟子さんたちは、皆料理が上手なので、そこで習った料理をハワイで作ってみるんです。日本に行った時に購入したり、プレゼントで頂いた調味料などがたくさんあるので、それを使って作ります。

あとは、日本語を学ぶこと。日本語講座に通って勉強しています!
日本語を勉強するようになって、日本人のしぐさ、文化、考え方、尊敬語や謙譲語などの違い、洋服の着こなし方など、なんで日本人はこうなんだろう?と疑問に思ってきたことが、少しずつ理解できるようになってきました。

おすすめのお店…そうね、オアフ島の家はリリハベーカリーの近くにあるので、よく利用します。私の子供たちはリリハベーカリーで育ちましたよ(笑)!!

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