この家に産まれた瞬間から、NONOSINAのリーダーになることが決まっていた彼女が、タヒチアンダンスとどのように向かい合って来たのか?そして、これからどのように向き合って行くのか?その想いを伺いました。
ティアナ・ノノシナ・リウファウ・プロフィール
2015年に50周年を迎えた、全米最大のタヒチアングループ ノノシナ (アナハイム・カルフォルニア)4代目代表。 幼少時代からポリネシアン音楽、ダンスに囲まれた環境に育ち、アメリカ本土に留まらず、ハワイ、ヨーロッパ、メキシコ、カナダ、アジアなどでタヒチアンダンス・ドラムのワークショップを行ったり、大会審査員を務める。 ダンス、ドラム、ウクレレ、振り付け、どれをとっても痺れる彼女の カリスマ性は多くのファンを魅了する。
【主な功績】
UCLA 国際アート&カルチャー学科 アメリカ人気TV番組 “So You Think You Can Dance”ゲスト振付師として出演(2010)、メリー・モナーク・Hōʻike出演(2012)、Heiva I Tahiti エキシビション出演(2013)、Heiva I TahitiにTahiti Oraグループメンバーとして出演(2014)、公開ディズニー映画「MOANA」公開イベントにて振付師を務める (2015)。
NONOSINA HP:http://nonosinadance.com/
NONOSINAのリーダーとしての自覚
つかまり立ちをする前からダンスしていたんだよ(笑)それくらい、自分の生活にタヒチアンダンスがあることは、ごく自然なことだった。
子供の頃は将来NONOSINAを背負って立つ、という自覚はもちろんなかったけれど、大きくなるにつれ、色々なことが分かるようになってくると、「私が与えられた役割はNONOSINAのリーダーを継ぐことで、このグループは女性継承なのだな」と気づいた。でも、「私が次のリーダーなんだ」、と腹が決まったのは、この間の50周年の発表会の時だったんだ。
それまでも、それに対する疑問やプレッシャー、葛藤は全くなかった。だから、自分が背負って立つことを『義務=やらなくてはいけない』、と考えたことは今まで一度も無いんだよね。
ドラムとダンスは切っても切れない関係
ドラムは9才から始めたの。ドラムを叩いている時はダンサーとの呼吸を合わせながら叩いているし、ダンサーとして踊っている時はバックミュージシャンとの息を合わせることを意識しながら踊ってる。ダンサー無しのドラム、ドラム無しのダンスも完璧なものと思えない。私にとってドラムとダンスは切っても切り離せない関係かな。
タヒチアンドラムを日本でも伝えたい。
今回の来日では、「タヒチアンドラムを知っている人が少ないんじゃないかな」と思ったので、実際に私がパフォーマンスをして興味を持つ人が増えたら良いなと思い、今回のイベント(12月20日に開催したイベントHOUSE OF TIKA)で演奏しようと思って持って来たの。
タヒチアンドラムを使う時の決まりは特にないんだ。例えば、フラのカヒコだと、「この曲にはこの楽器を使う」という決まりがあるように、タヒチアンの古典的な踊りでは竹や鼻笛を使うのね。タヒチアンドラムにはそういった決まりは無くて、自由にドラムを演奏することが出来る。
私が大学(UCLA)で学んでいたころ、色々な国の楽器を触る機会があって、日本の「太鼓」を叩いたとき、音色や叩いた感触が「あ、タヒチアンドラムと似てる」って感じた。だから、日本人にも絶対馴染みがある音なんじゃないかと思ってる。ダンスと同じようにドラムビートも言葉がいらないから、心に伝わると思ってるよ。
流行りだけを追わずに、昔のことを知ることが大切。
日本ではタヒチアンドラムがまだ珍しいから、「これはかっこいい!」って言うところにしか注目してもらえないと思うけれど、これから学びたい人たちには、「昔の人がどんな風にタヒチアンを伝えて来たのか、そしてどんなことをやって来たのか」ということを理解してもらいたいなと願ってる。
そこを無視して流行りやかっこよさばかりを追いかけることが大事とは思わないの。
ノノシナの基本的なダンススタイルもあるのだけれど、私のダンスは、祖母のもの、母、そして兄(メヴィナ・リウファウ)ともまた違う。廻りから「あなたの振り付けはやっぱり他とは違うね、新しいね」って言われるけれど、何故昔の人たちがダンスで表現をし、ドラムビートを作ったかというと、「今何が起きているのか」を表現したくて始めたからなんだ。それは私も同じ。「昔のことを伝えながらも、今の私が表現したいこと」をしているだけ。自分の血がそうしろって言ってることに従っているだけなんだ。
NONOSINAのリーダーの肩書きが無かったとしても、私がやっていることも伝えたい気持ちは今と同じだったと思うよ。
編集後記
自分が進む道を素直に受け入れながら、自分オリジナルのスタイルを追求し発信し続けるティアナさんの表情は、アーティストとしての表現者の顔でした。「私は話すのが少し苦手。だから、その分ドラムやダンスで自分を表現するのかも」と少し照れながら話す彼女の力強いドラミングは、今日も多くの人を魅了しているのでしょう。様々な文化やアートに触れ、その情熱をドラムとダンスにぶつけるティアナさんのパフォーマンスに、これからも目が離せません!
通訳:Midori Kurosaki(KILOHANA JAPAN)
インタビュー・編集:Malie Yasuda(Alohawave)
写真提供:KILOHANA JAPAN