ナイノア氏はハワイではもちろん、日本でもかなり有名で、どこに行ってもみんなから写真やサインをせがまれ、マスコミから取材される機会も多い。それなのに、いつもとても地味で控えめで、目立たないようにしている。横浜での入港歓迎セレモニーで、ナイノア氏は何回も強調していました。
「自分が代表としてここに立っていても、私はスタッフの1名にすぎない。この航海は、クルーたちと、支えてくれた大勢の人たち全員で成し遂げたものだ」と。 セレモニーでは、横浜の高校生たちが和太鼓を演奏したのですが、それについても「彼らの演奏を見れば、彼らがどれだけ今日の日のために練習してきたかがわかります」とナイノア氏。素晴らしい演奏でした、その程度の言葉なら誰でも言える。でも、彼らの演奏を聴いて、彼らのこれまでの努力までもちゃんと汲み取ってあげられるナイノア氏は、とても器の大きい人だと感じます。
ナイノア氏は、他のクルーたちを全員前に立たせ、自分は目立たないように後ろに下がって、他のキャプテンたちに挨拶をさせたり、華やかな場を必要としない謙虚な人。これだけ有名になっても、「あくまでも自分はスタッフの1人にすぎない」と何度も繰り返すナイノア氏の姿に感動を覚えたのは私だけでしょうか?
活躍している人ほど、それを誇示するようなことはしない。そして、そんな人柄だからこそ、多くの人が支持し、サポートする。そして、そういう人のすごいところは、その人柄に触れた人の心さえも変えてしまうこと。ナイノア氏のそばにいて、彼の人柄を感じた人なら、傲慢になるようなことは絶対にないはず。ただ佇んでいるだけで周りの人を変える。そんなナイノア氏の姿は多くのことを教えてくれた気がします。 なぜ、多くの人がホクレア号に惹かれるのか? 自然を大切にする気持ちを教えてくれるから? それとも、平和を実現していく力を与えてくれるから?
人それぞれ理由は違うと思う。あくまでも私の場合だが、ホクレアは、「誇り」というものを教えてくれる。ホクレア号は、失われつつあったハワイ文化を復興させ、アメリカの一部となった今もハワイ民族の誇りというものを表現している。メリー・モナーク・フェスティバルを観戦したとき、アメリカ国歌は歌わなくても、ハワイ州歌(元ハワイ国歌)は意気揚々と歌う地元の観客たちの姿を見たときにも感じた「誇り」。 私は日本に生まれ育って、果たして日本文化をどれだけ知っているだろうか? 誇りを持っているだろうか?
そんなことを考えるきっかけを与えてくれました。 そして、ホクレア号という小さなカヌーが私たちに与えてくれるもの、それは夢見る力。みんなにだってやれることはたくさんある、限界なんてないんだよ。さあ、あなたの中のホク(星)レア(希望)をもっともっと輝かせて! 私には、ホクレア号がそう語りかけてくれている気がするんです。
取材・文 アロヒナニ
アロヒナニ・プロフィール
ハワイ文化講師、カードセラピスト、フリーライター
ハワイ留学をきっかけにハワイ文化に魅せられ、フラ歴は 15 年を超える。
日本におけるマナ・カード・リーディングの第一人者であり、各プロバイダーにて配信されている「マナ・カード・ネット占い」の監修をしている。また、マナ・カードや他のツールを使った個人セッションを行っている。現在、フラやマナ・カードを教える講師として、ハワイ文化を広めるため活動中。全国でワークショップを展開中。http://alohinani.com
写真提供 starsky
協力 ㈱ナチュラルスピリット